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時代の変化が新型コロナウィルスの蔓延により加速している中、なんの変化もない学校に通わせ続けて良いのだろうかと悩んでいませんか?
実は日本以外の国ではコロナ禍前から教育改革に取り組んでいます。
その中の1つがアメリカのHigh-Tech-HighSchoolであり、映画『Most likely to succeed』で取り上げられています。
この記事では現代教育の詰め込み教育ではなく全く新しい形を模索した学校について紹介しています。
最後までお読みいただくと、現在の学校に通わせなくても子どもたちが伸び伸び勉強する方法があると知ることができます。
教育改革による新しい学校教育の形
ある時会社の研修で「AI時代に必要な教育・人材開発・組織とは?」というお題目で映画「Most likely to succeed」を鑑賞する事が出来ました。
※映画「Most likely to succeed」は自主上映会の目的のみでしか使用できず、一般に外販されていません。
この映画では既存の学校教育は1800年代から変化がなく、人々は新しい能力が求められているにも関わらず、教えるシステムは変化していないことに警鐘を鳴らしています。
昨今の子どもが大人になった時、その65%もの人たちは現在の我々がみたこともない仕事についていると言われています。
またアメリカの大学を卒業した53%の大学生は、大学へ進学しなくてもできるような仕事に就職することになる現状です。
アメリカにおいてはすでに、既存の教育システムを通った先に現代社会が求める人材にはなりづらくなっている現実が現れはじめています。
そこでアメリカ-カリフォルニア州サンディエゴに公立チャータースクールのHigh Tech High(HTH) を設立し、次世代の教育とはどうあるべきなのかを模索したドキュメンタリー映画です。
新しい時代の到来に合わせて新しい教育が必要と考え、既存の学校教育の仕組みから大きく変化しています。
とても見ごたえのある映画ですので、興味がある方は上映会に参加してみてください!
High Tech Highにおける授業の形式と評価
HTHは2000年にLarry Rosenstockにより設立されたチャータースクールで、授業の形式が一方的に先生が生徒に語る形式ではありません。
プロジェクトベースの学習方法(プロジェクトベースドラーニング/PBL)
プロジェクトベースドラーニング(PBL)ってご存知ですか?
英語、理科といった科目別に学習していくのではなく、1つのプロジェクトを進めるにあたって全教科を横断的に学んでいく学習スタイルです。
HighTechHighではこのプロジェクト学習が取り入れられています。
この学習方法の魅力は、学習内容が実際に役立つツールとして活用できる点です。
既存の学校教育では学習した内容を世の中で活かすことはほとんどありません。
因数分解がなんの役人立つのか?
一生懸命歴史の年号を覚えてどんな意味があるのか?
という質問をしていた同級生がいましたが、当時の先生は答えに困っていました。
先生の中にもなんのために勉強するのか、これを勉強してなんの役に立つのかわかっていない人がいるのです。
しかしこのプロジェクトベースド学習ではプロジェクトを進める上で必要なことを学んでいくため、学んだ直後にすぐに活用でき、学習者への定着率を高くすることができる手法なのです。
期末テストなどの評価システムを全て廃止
期末テストなどによる評価システムをすべて廃止しました。
その代わりに両親や家族を招いた定期的な展示会を行い、それに向けて作品を仕上げていくことを目指しています。
大掛かりな仕掛け時計や戦争を取り上げた演劇など、内容は多様であり制限がない展示品です。
学校でよい評価を得るために勉強しテストでいい点を取るのではなく、その展示会に向けて出展するというプロジェクトを通して、あらゆることを横断的に学ぶ必要があります。
映画の中ではPBL形式のため、仕掛け時計を作るクラスでは数学、物理、コンピュータを使った図面作成やシミュレーション、自動工作装置の使用など、生徒が展示物を作るために必要な知識を自主的に学んでいました。
演劇のクラスでは歴史、地理、衣装作り、証明、音響機材など、演劇に関わる要素を文献やインターネットで学んでいきます。
何か特定の知識を得る事が目的でなく、展示物を作るために必要なツールを自ら学ぶ過程を通して、実際に使える知識を習熟していく学習過程になっています。
学び方を学ぶことに主眼が置かれている
人工知能の登場など技術進歩が進む中で、現代の子どもたちの65%は、現在ない仕事に就くのではないかと予想されています。
その状況下で一過性のスキルを身に着けるのではなく、どのような環境においても学び新しいスキルを身に着ける事ができる力を子どもたちが得る事を目指しているのです。
High Tech Highの驚くべき取り組み
HTHは既存の学校教育とは異なった方法を取り入れています。
そのユニークな取り組みについていくつかご紹介します。
High Tech Highの生徒は低所得者層でランダム選抜
この学校の生徒は志願した人を選抜しませんでした。
なんと志願者を電話帳順に並べて、バラバラの出身になるように一定間隔のランダムで選んだそうです。そのため低所得者層が50%近くも入学しました。
優れた実績を生むために優れた学生を選抜するのではなく、本当に教育システムが効果的なのかどうか汎用性があるのかどうか確かめるため、このような方法を取ったのだとか。
後述しますが、もともと優秀な生徒を集めたわけでもないのに大学進学率98%です。
どんな世帯にも大学へ入学させることができる実績がある教育システムであると言えます。
High Tech Highの学習範囲は従来の40~60%程度
現在の学習指導要領は膨大な量の学習範囲を設定しています。
教科書毎に異なると思いますが、各国の革命や人権宣言といった歴史的出来事に対して、だいたい数ページ程度しかスペースを割くことができません。
歴史に表面的に触れるだけならよいかもしれませんが、そこから当時の背景、人々の心の動き、この出来事の歴史的な意味などを深堀りすることはできません。
一方でHigh Tech Highの授業形式はプロジェクト型です。
そのプロジェクトに必要なツールとして知識を習熟するため、興味の赴くまま、必要に迫られるまま、質を上げるために臨むだけ深堀できます。
しかし当然時間は有限であり、現代の学習指導要領を全て網羅して学習する事はできないのです。
その学習範囲はなんと従来の40%~60%程度だそうです。
私はそれを聞いて「さすがに少なすぎでは?半分しか学べないってことでしょ?」と思わずにはいられませんでした。
当然映画内でも保護者がその疑問を学校に投げかけていました。
これに対するHigh Tech Highの回答は「これはデータに基づいた合理的な決断であり、同時に踏み出すには大きな勇気が必要なものです」というとても印象的なものでした。
High Tech Highの回答を要約すると
1年後に同じテストなんか受けても全く点数は伸びないでしょう。
なんとなく自分でも感覚的にわかりますね…
このデータの他にも様々な議論や根拠があったと思います。
そこでHigh Tech Highは「従来の学習指導要領は学習範囲が膨大すぎる」という結論を出しました。
「本当に学生のうちに残り、これからの時代を生き抜くために必要な能力を養うこと」にフォーカスし、プロジェクト型学習を取り入れ学習範囲を狭めることにしました。
これは大きな決断だと思います。
映画の中で保護者はこの回答を説明されます。
しかしそれでも「学習範囲が普通の公立校よりも狭いことに対する不安」はぬぐえていませんでした。
ある意味で「従来の教育では子どもに何も残らないとデータは示すけど、自分や周りが受けてきた従来のスタイルを捨てきれない」のです。
私もホームスクールを考えていますが、この保護者と同じ感覚を抱きます。
ホームスクールという形式は変えるつもりでも、学習範囲をここまでだいたんに変更することは考えていませんでした。
しかしHigh Tech Highは、データに基づいて非常に大きな決断をされています。
ホームスクールを行うにあたって、学習指導要領を網羅するような詰め込み型学習を行う必要は無いのかもしれないと考えさせられました。
映画の中でHigh Tech Highの先生が保護者へ言うのです。
私たちは強制しません。
あなたとお子さんで選んでください。
これまでと同じ教育を続けるか、新しい教育へチャレンジして進むのか。
この学校は子どもに強制はしないように、親にも強制しませんでした。
あなたの人生を、あなたが選ぶんだと。
High Tech Highは大学進学率98%
こんなに学習範囲を縮めて、その後の大学進学はどうなるの!?
なんとHigh Tech Highの子どもたちは州の標準テストの成績は平均を上回り、大学進学率98%だそうです。
細かい内訳はわかりませんでしたので、何か偏りがあるかもしれませんが、それでもこの結果は驚くべきものです。
日本でもAO入試や自己推薦入試などは軽々と通りそうですね!
ある意味で多くの人が従来の教育システムの中で培われた能力で競争します。
プロジェクトベースドラーニングなど一部特化型学習された人からすると、日本の受験はブルーオーシャンなのかもしれませんね。
海外ではすでに教育改革は始まっている
とっても面白い学校ですね。
映画では高校だけですが、現在では中学校と小学校も設立され拡大傾向にあります。
実績からその効果が認められてきたのでしょう。
日本でもこういったユニークな取り組みがなされ始め、N高等学校もこのプロジェクトベースドラーニングを取り入れています。
子ども主体の教育、時代にあった実践教育など、教育形態も多様化していくと多くの子どもにとってベストマッチな学校が増えていくのでよいと思います。
普通の公立学校に通うことが悪いことではありません。
しかしもしそこに通わせることに疑問を抱くなら、他の方法に目を向けてもよいのかもしれません。
最後に映画の初めに出てきたアメリカの哲学者ジョン・デューイの言葉を分かち合います。
“If we teach today’s students as we taught yesterday’s, we rob them of tomorrow.”
もし私たちが生徒に昨日と同じように今日も教えるならば、私たちは子どもたちの未来を奪っているのです
John Dewey
God bless you!
参照した情報先
他の方の記事やブログも参考にしました。
ちなみに日本では下記団体が広報活動を行っているようです。
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世界7大教育の1つであるレッジョ・エミリア教育もプロジェクトベースドラーニングを取り入れています。
子供の社会性、権利、時間という3つのポイントを重要視して、徹底した子ども視点での教育を目指した事例です。
日本でも教育改革がなされており、プロジェクトベースドラーニングを取り入れた学校があります。
1つはドワンゴと角川が共同設立したN高等学校。もう1つはホリエモンこと堀江貴文さんが立ち上げたゼロ高等学院です。
ホームスクールとシェアハウスを組み合わせることで、両親以外から学ぶことができるチャネルを増やした事例もあります。
こう考えると日本の教育システムに疑問を感じて行動している人はたくさんいるのですね。