
こんな疑問をお持ちの方におすすめの記事!
シャローム!りょうです!
「ホームスクールで社会性が育めるだろうか…。」と心配になりませんか?
このブログでは書籍『社会性のワナ』から「健全な社会性とは親や大人から学ぶものなのでホームスクールも大丈夫!」と紹介しています。
しかしそれでも「本当か?」と気になりますよね。

実は私は気になってました(笑)
特に統計データなどを含む最近の研究結果が公開されていないのかと。
残念ながら、まだ日本ではホームスクールに関する研究機関や査読論文などはほとんどありません。
でも諦めるなかれ。
なんとアメリカではホームスクールの専門ジャーナルがあり、そこで数えきれないほどの査読論文が公開されています。
査読論文とは、執筆者の研究結果をそれ以外の専門家が内容の確かさを調べたうえで発表される論文です。
そのため客観性を保った厳しい審査を経て公開されます。単なる個人の意見や主張とはわけが違います。
そこでこの記事では、NHERI(National Home Education Research Institute)というホームスクール支援団体が公開するホームスクールに関する研究結果を紹介します。
最後までお読みいただければ、昨今の統計データから明らかになった子どもの社会性についてホームスクールがどのような影響を与えるのか知ることができます。
世界的にホームスクールが増加

ホームスクーリングは、過去30年間世界中で驚異的に拡大しています。
それは特に新型コロナウィルスによるパンデミックの影響で、2020年〜2022年はその傾向が顕著でした。
たとえば米国では、幼稚園から12年生までの家庭教育を受ける子どもの数が、2019-2020年では推定265万人でしたが、2020-2021年には372万人に増加しています(1年で36%増!)。
またイスラエルでは、イスラエル教育省が承認したホームスクーリング家庭の数は、2005年から2019年にかけて700%増加しています(Madara & BenDavid-Hadar, 2021)。
このようにホームスクールは、日本ではあまり認知されていませんが、世界的には大きな広がりを見せています。
ホームスクールにおける社会性に着目

世界的にホームスクーラーが広がりを見せる中で、子どもへの影響を考えるために多くの研究が行われています。
これまではホームスクールを行う家庭とその子どもたちの人口統計や学業成績に関するデータが収集されてきました。
そして昨今ではさらに踏み込んで、子どもたちの社会的能力や創造的思考について焦点が当てられています。
例えばMichal Unger MadaraとIris BenDavid-Hadarによる最近の研究では、ホームスクールの子どもたちの社会的能力を評価することを目的としていました。
このような研究領域はまだまだ発展途上ではあるものの、学業成績など定量評価しやすいものだけでなく、社会性や創造的思考など定性評価に近いものまで研究しています。
評価方法:ソーシャルスキル評価システム(SSRS)
今回の研究では、社会的能力はSocial Skills Rating System(SSRS)質問票を用いて評価しています。
SSRSは「協力」「主張」「責任」「共感」「自制心」の5つのポイントに着目しています。
加えてホームスクールの子どもたちの社会的能力が、子どもや親の背景、地域の背景など何が要因となっているのかを検討しています。
さらにデータの分析には、都合がいい検証結果だけを取り出さないように6つの回帰モデルが適用されました。
結論:ホームスクーリングは社会的能力によい影響を与える

本研究の結論としては「ホームスクーリングが社会的能力に良い影響を与えることを発見した」です。
ホームスクーリングで育った子どもたちは、評価項目のすべてにおいて高いスコアを獲得し、社会的能力の高さを示しています。(公立校に通った子どもたちよりも高い値を獲得。)
適応的行動&感情的知能(コミュニケーション能力)
ホームスクーリングは、いわゆるコミュニケーション能力におけるスコアが高いことがわかりました。
コミュニケーション能力における細かい話は以下に記載しておきますので、気になる方は読んでください。
●適用的行動(Adaptive Behavior)
「日常生活を送るためだけでなく、周囲の人とコミュニケーションをとるために、その人が身につけた概念的、社会的、実践的な能力の集まり」
●感情的知能(Emotional Intelligence)
「さまざまな状況下で、社会的に認められた方法で他者と交流する能力」
(´⊙ω⊙`)???
私なりに翻訳すると「より健全な関係を築くために持つ価値観や対話力」です。
具体的にいうと、食事を注文したり、買い物したりする単純なことだけでなく、多様な年齢や性格の人々に対してや対立的な状況においても、よい関係を築ける能力です。
このスコアが高くなる理由として、ホームスクーリングでは実生活の中で能力を発揮する機会に恵まれるからと推察されます。
例えば親とともに買い物にでかけたり、地域施設を利用したりすることで、実社会であらゆる年齢の人々と交流するチャンスがあります。
同い年や年齢の近い子どもが集まり子ども同士のコミュニケーションが中心の学校と異なり、実際の社会において多様な年齢の大人とコミュニケーションを取ることができます。
加えてホームスクールでは、子どもの社会性の発達に大きな悪影響を与えるいじめなどに出会う機会を減らすことができたことも影響があると考えられます。
クリエイティブシンキングに与える影響
社会的能力に加え、ホームスクーリングは創造的思考にも好影響を与えることができます。
ホームスクーリングではカリキュラムを柔軟に設計できるため、創造的な活動を追求する自由があります。
また個人に合わせて学習ができるため、自分の興味をとことん探求することもできます。
その結果、創造的な思考力や学習への情熱を育むことができると考えられています。
影響を与える要因について
では具体的にどのような要因が影響を与えているのでしょうか。
3つのポイントでまとめられています。
ホームスクーリングの教育形態
子どもたちが受けたホームスクーリングの教育の種類も、社会的能力に大きく関わっています。
調査によれば同じホームスクーリングでも、カリキュラムやスケジュールを持ち、体系的に行うとよいとのこと。
結果としては、カリキュラムとスケジュールに沿った体系的なホームスクーリングを受けた子どもは、そうではないホームスクーリングを受けた子どもよりも、社会的能力が高いことを明らかになっています。
兄弟姉妹の数
興味深いことに、ホームスクーリングをしている家庭の兄弟の数が社会的能力の発達に大きく影響していました。
具体的には兄弟姉妹の多い子どもほど社会的能力が高い傾向があります。
これは家族のなかで他者と交流する機会が多く、そのなかで親から社会性について教えられ、兄弟間で実践するためと考えられています。
生徒の背景(性別や親の教育レベルなど)
一方で性別、年齢、親の教育レベルといった生徒の背景が、社会的能力に大きな影響を及ぼさないことも明らかにしました。
具体的には、影響が大きいとされる教育形態と兄弟姉妹の数を揃えたうえで、この背景要素を変えても、社会性が大きく変動することはありませんでした。
つまり子どもの性別、年齢、親の教育レベルに関係なく、ホームスクーリングに取り組むことで子どもの社会性を発展させることができることが明らかになりました。
ホームスクーリングは社会性を育めることが明らかに!

正直私も「ホームスクールで社会性が育めるだろうか…。」と心配になったこともありました。
しかし今回のような大規模な統計的調査によって、ホームスクーリングで育った子どもたちが社会性や創造性において高いスコアを記録したことが明らかになったのは、とても安心できました。
もちろんアメリカをはじめとした英語圏と日本では状況は異なるでしょう。
しかしその手法そのものに根本的な問題がない、むしろプラスの影響があることがわかったのは、本当に心強いです。
もしあなたがホームスクーリングが気になっているけど、周囲から「大丈夫?同い年の子どもたちとすごさないと社会性が育めないんじゃないの?」と言われて心配になっていたら安心してください。
あなたがなにか特別に教える能力が秀でていなくても、子どもはあなたとともに実社会のなかで生活することで、豊かにその社会性を育むことができます。
心からおすすめします!
God bless you!!
FAQ

ここでは具体的な疑問に答えます。すべてが上記の論文に書かれているわけではない点はご了承ください。
Q: ホームスクーラーはどのように社交するのか?
A:自分が住む地域のさまざまなコミュニティに出ていくことによって。
なにか特別な場所や方法を取る必要はなく、ご自分の地域にあるコミュニティを選べば大丈夫です。
年齢が小さいうちは、地域の子育てひろばや子育てサークルなどに足を運ぶのが一般的ではないでしょうか。
年齢が大きくなるに従い、地域の活動、スポーツや音楽レッスンなどの習い事、ボランティア活動への参加など選択肢が広がっていきます。
近くに住むホームスクーラー同士で、定期的な集まりを持つのもよいでしょう。
そのなかで子どもの特徴や関心事などが明らかになっていき、子どもに与えられた賜物や資質を親子で発見することができるのは素敵ですね。
Q:特別なニーズを持つ子供たちに有効ですか?
A:より個人的な教育ができるため、特別なニーズを持つ子供にも効果的です。
しかし同時に、子どもの特別なニーズを満たすために、親が専門家のサポートや適切な施設やサービスを活用することが重要になります。
そういった時間の自由度やカリキュラムの柔軟性においては、ホームスクーリングは親和性が高い教育形態になります。
Q: ホームスクーラーはどのように創造性を伸ばすのでしょうか?
A: 自分の興味や情熱を探求し、自分のペースで学び、創造する自由を得ることで創造性を育むことができます。
カリキュラムの設計や時間配分が自由であるため、国語・算数・理科・社会+英語のような科目はもちろん、芸術、音楽、作文などにおいても創造的な活動をする機会を提供することができます。
私の友人は小学校教員で、クラスの子どもに「100文字作文」を毎週宿題に出すそうです。
添削によるフィードバックを行い、これを半年間真面目に取り組み続けた子は驚くほど文章力がつくとか。
これは友人が独自に行なっているものであり、学校としては提供していません。
このように意図して創造性を訓練するカリキュラムを自由に設計できるのは、ホームスクーリングの強みです。
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