「申命記」をひと言で説明すると、
契約と祝福、のろいについての確認の書。
申命記のアウトライン
- 過去の回顧(1~4章)
- 律法の解説(5~26章)
- 未来の展望(27~30章)
- 指導者の交代(31~34章)
細かい内容
- ホレブからヨルダンまでの回顧(1~3章)
- 偶像礼拝の禁止(4章)
- 十戒の解説(5章)
- 主要な命令と警告(6~7章)
- 荒野での不思議の回顧(8章)
- イスラエル人の反逆(9~10章)
- 服従に対する祝福(11章)
- その他の諸規定(12~15章)
- 祭り(16章)
- 王に関する予告(17章)
- モーセのような預言者(18章)
- のがれの町(19章)
- 戦争に関する規定(20章)
- 様々な律法(21~26章)
- ゲリジム山で書き記すべき律法(27章)
- ユダヤ人に関する預言(28章)
- 契約と最後の警告(29~30章)
- ヨシュアへの世代交代(31章)
- モーセの歌(32章)
- モーセの祝福(33章)
- モーセの死(34章)
土地の契約(29~30章)
- 「ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である」(29:1)→ モーセ契約とは別
- この契約は無条件契約
- 神ご自身と仲介者モーセとの間で結ばれたイスラエルのための契約
- 約束の土地の占有権がイスラエルにあることを約束している
土地の契約の条項
申命記の著者・背景
旧約聖書のはじめの5つの書(創世記・出エジプト記・レビ記・民数記・申命記)は、
ヘブル語で「トーラー(Torah)」と呼ばれ、もともと一つの書としてモーセが記したものとされている。
5つの書簡をそれぞれ切り離して考えてしまいがちだが、著者はモーセ五書全体で伝えたいことがある。
申命記の著者(Who)
- モーセ
エジプト生まれのレビ人。
父・アムラム、母・ヨケベテ、兄・アロン、姉・ミリアム。
申命記の時期(When)
- イスラエルの民がエジプトを出てから、40年の出来事。
第四十年の第十一月の一日にモーセは、主がイスラエルの子らのために彼に命じられた、すべてすべてのことにしたがって、彼らに語った。
申命記 1:3
申命記が書かれた目的(Why)
- カナンの地に入るイスラエルの民(出エジプトを経験していない第二世代の人たち)に向けて、なぜカナンの地に入るのか、どのような約束があるのかを伝えるために書かれた。
書名(Title)
- 「申命記」という書名は、ヘブル語の聖書では「エレー・ハデバリム」で、この書の最初の3語から取られている。
- 英語では「Deuteronomy」とされ、「第2の律法」という意味の70人訳聖書の「Deuteronomion」から由来している。
- 日本語の「申命」とは「繰り返し命じる」という意味。申命記はそれまでに啓示されていた律法の解説書であることからきている。
申命記から学んだこと
約束に忠実な主
イスラエルの民は、主に従うという原則の目的・結果を確認した。
今、イスラエルよ、私が教える掟と定めを聞き、それらを行いなさい。それはあなたがたが生き、あなたがたの父祖の神、主があなたがたに与えようとしておられる地に入り、それを所有するためである。
あなたがたは、ヨルダン川を渡って所有しようとしているその地から追われ、たちまち滅び失せる。そこで、あなたがたは長く生きるどころか、すっかり根絶やしにされる。
しかしそこから、あなたがたがあなたの神、主を探し求め、心を尽くし、いのちを尽くして求めるとき、あなたは主にお会いする。
申命記 4:1,26,29
現代の私たちへも、主は同じように約束を与えてくださっている。
わたしはぶどうの木、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わたしもその人にとどまっているなら、その人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないのです。
わたしの愛にとどまりなさい。わたしがわたしの父の戒めを守って、父の愛にとどまっているのと同じように、あなたがたもわたしの戒めを守るなら、わたしの愛にとどまっているのです。
ヨハネ 15:5,9,10
申命記時代のイスラエルの民を他人事として観察するのではなく、同じように私たちに語られる主の約束を真摯に受け止めたい。
イエスに留まり、イエスの戒めを守ること。
約束に忠実な神を覚え、この約束を心に刻もう!
イエス・キリストの愛読書
イエスは荒野でのサタンとの戦い(マタイ4:1~11, ルカ4:1~13)において、申命記を引用された。
『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる』と書いてある。
マタイ 4:4
人はパンだけで生きるのではなく、人は主の御口から出るすべてのことばで生きるということを、あなたがたに分からせるためであった。
申命記 8:3
サタンに反論する際に瞬発的に暗唱できるほど、イエスの愛読書だったのではないだろうか。
イエスは難しいことをされたわけではない。みことばを真正面から受け取り、素直に信じ、ご自分のものとされた。
私たちも、神への単純な従順を通して霊的生活が豊かに祝福されることがわかる。
イエスさまの約束を、無垢な子どものように素直に受け止めて歩もう!
- 輪郭的聖書/ロバート・リー
- 旧約聖書の概説/ヘンリエッタ・C・ミアーズ
- 新聖書ハンドブック/ヘンリー・H・ハーレイ
- バイブルガイド/マイク・バーモント
- ハーベスト・タイム『60分でわかる旧約聖書「申命記」』
- 申命記概説/聖書基礎研究会 S.W.
※ 聖書のみことばは「聖書 新改訳2017」から引用しています
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