こんな疑問をお持ちの方におすすめの記事!
友人から『どうしてキリスト教を信じたの?イスラム教じゃダメだったの?」』と質問されてうまく答えられず悩んでいませんか?
ましてやクリスチャンですと伝えると、この手の質問ってたくさん受けますよね。
またイスラム国などがニュースで話題になると、なおのこと質問がくる。
私もまさにこれで悩んでいました。
クリスチャンなので聖書について聞かれればだいたい答えられます。
しかしよく比較されるイスラム教について正直あまり知らない。
表面的なことは答えられても、コーランのことは何も知らないので深くは答えられない。
イスラム教ってどんな宗教?
コーランには何が書いてあるの?
イスラム教とキリスト教って同じじゃないの?
クリスチャンとしてそんな疑問に答えられるようになりたいですよね。
実はこれさえ読めばイスラム教への理解が深まり、ほとんどの質問にバッチリ答えられるようになる!という本があります。
その本とは『イスラム教の論理』・『イスラム2.0』(著者:飯山陽)です。
クリスチャンである私が読んで、イスラム教について知りたい全てのクリスチャンにおすすめしたい本です。
そこでこの記事では、イスラム教徒の視点からみたイスラム教について解説した『イスラム教の論理』・『イスラム2.0』を紹介します。
記事を読み終えると「イスラム教は平和の宗教と言われるのになぜテロを起こすのか?」といった質問にズバリ答える最初の一歩になります。
イスラム教の論理の著者『飯山陽さん』とは?
著者の飯山陽さんはイスラム思想研究者です。
東京大学の大学院にてイスラム学専門分野を研究し、博士号も取得されているまさにプロフェッショナル。
現在はアラビア語通訳や上智大学アジア文化研究所客員所員担っています。
飯山陽さんの特筆すべき点はイスラム教を観察する視点にあります。
多くのイスラム教解説者は日本人や西洋人の常識や考えを元にイスラム教を分析しがち。
しかし飯山陽さんはイスラム教徒の視点からイスラム教を分析します。
著書のなかで「私たちの常識にはないけれど、イスラム教は◯◯と考えるので、こう行動します。」といった、イスラム教徒の思考と行動の一貫性を、信頼性のあるレポートやニュースなどからみごとにまとめてました。
イスラム教について学ぶ必要性
でもこの日本でイスラム教徒なんて身近にいないよ?私にはあまり関係ないでしょ?と思われたかもしれません。
いえ、そんなことはないのです。
イスラム教は私たちが思っている以上に身近な存在になりつつあるのです。
イスラム教徒人口の増加
日本ではイスラム教徒もキリスト教徒とも日本人口の1%以下と言われており、身近にいないことがほとんどではないでしょうか。
しかし世界に目を向けるとイスラム教人口は爆発的に増加していくと言われています。
2017年に発表されたピュー・リサーチ・センターのレポートでは、2015年時点で世界総人口に占めるイスラム教徒の割合は24%です。
しかしその増加率は他宗教の2倍以上と予測されており、2100年には世界総人口の35%がイスラム教徒となる(世界最大)と言われています。
つまり3人に1人がイスラム教徒なわけです。
そして今後はイスラム教人口が増え、民主主義の世の中で台頭してくるでしょう。
事実すでにヨーロッパの一部の国では、イスラム教徒の人口が急増し国全体で問題となっています。
日本もいずれ他人事ではなくなる日が来るかもしれないのです。
テロを実行したイスラム教徒が日本に来日した
海外でテロ行為を行ったイスラム教徒が、実際に日本へ入国したことがあります。
ザーキル・ナイクという人物は、2016年7月バグラデッシュのダッカで日本人7人が犠牲となったテロの実行者の1人。
2017年7月にインド政府は彼のパスポートを無効化、インターポールに国際手配を要請しています。
なんとこの人物は日本ムスリム平和連盟の招待に応じて、2015年11月に来日し、東京大学などの複数の大学で講演会を行ったとのこと。
これには私は非常に驚きました。
このようにテロ行為に及ぶような存在が、日本に来てその思想を伝えているのです。
テロ行為に及ぶイスラム教徒にとって日本は都合がいい
テロを行うイスラム教徒にとって、日本はかなり都合のよい国になります。
なぜなら日本の制度をうまく使えば、世界中の国に入国しやすくなるからです。
日本は比較的容易に日本国籍を手に入れられる国。
そして国籍を手に入れられるということは、同時に日本のパスポートを手に入れられることを意味します。
実は日本のパスポートは、ビザなしで多くの国に入れる世界で最も便利なパスポートの1つ。
そのため日本のパスポートを取得できれば、世界中の多くの国に入国しやすくなる。
するとテロ活動を行いやすくなるのです。
このように日本はテロ行為を行うイスラム教徒にとって、かなり都合のよい国となっています。
以上から私はイスラム教徒の考え方や行動原理を学ばねばならないと思いました。
飯山さんの著書で特に印象に残ったこと
『イスラム教の論理』『イスラム2.0』は読めば読むほど衝撃的なことが書かれています。
そのなかでも特に印象に残った、インパクトがあった2点をご紹介します。
すべてのイスラム教徒は同じ論理で考える
よく日本では『イスラム過激派』と『イスラム穏健派』という区別を聞きますよね。
そのため私は同じイスラム教徒でありながらも、異なる考え方を持つ派閥があると思っていたのです。
わかりやすく言うなら『力づくでイスラム教を広める派』と『人それぞれ信仰があるよね派』。
そして後者の思想を取り上げて「イスラム教は平和の宗教」と主張するイメージ。
しかし飯山陽さんによれば、イスラム教徒にとって派閥は存在せず、全てのイスラム教徒は同じ思想を持ち、同じ目的に向かって行動していると言うのです。
しかもイスラム教徒にとって過激派と言われるイスラム教徒こそ、「コーランに忠実で、イスラム教徒に称賛される模範的なイスラム教徒」である、と考えられているというのです。
本書にはこれを裏付ける調査結果が多数掲載されていますが、そのうちの2つを取り上げます。
オランダ在住イスラム教徒への調査結果
アムステルダムを拠点とする独立調査機関モティヴァクションがオランダ在住イスラム教徒を対象に2014年に調査を行いました。
すると80%のイスラム教徒が、「非イスラム教徒に対するジハード(聖戦)は全く悪くない」と回答しています。
ジハードとはイスラム教徒がいのちがけで異教徒を攻撃することです。
80%のイスラム教徒が日本人のいう「過激派」なはずはありませんから、いわゆる「穏健派」と呼ばれる人たちもアンケートに回答したはずです。
つまりこの調査からわかることは、日本人がイスラム穏健派と呼んでいる人たちも、ジハードが全く悪いことではないと判断しているということです。
インドネシア大学生の調査結果
2018年にマレーシア外務省が「東南アジア諸国における大学生の過激化」という報告書を出しています。
それによれば、調査対象となったインドネシア(国民のほとんどがイスラム教)の大学生のうち24%が「テロは目的を達成するための有効な戦略である」に強く同意すると回答しています。
つまりインドネシアにおいては、4人に1人がテロ行為は有効な戦略であると考えているのです。
他にも「暴力的で過激な思想を持つことはテロを行わなければ問題ない」には39%が強く同意。
「暴力的で過激な思想を持つ大学生が、実際にテロ行為に及ぶ可能性がある」には48%が強く同意しています。
以上のことから、イスラム教には過激派と穏健派という2つの異なる思想があるわけではなく、すべてのイスラム教徒が同じ思想、同じ行動原理を持つと言えます。
イスラム教に信教の自由な存在しない
2つ目の印象に残った点は、イスラム教では信教の自由は存在しないことです。
ん?信教の自由は基本的人権では?
と思う方も多いでしょう。
しかし事実として、イスラム教では信教の自由は存在しないのです。
なぜならイスラム教徒は聖典・コーランに書かれるイスラム法こそ唯一の法律だからです。
そしてこのイスラム法に書かれる権利こそ、人が持つ唯一の権利と考えているのです。
基本的人権より優先されるイスラム法
イスラム教徒にとって西洋から始まった基本的人権よりもイスラム法(コーランの教え)が優先されます。
なぜなら彼らが聖典とするコーランは神のことばであり、なによりも優先されるからです。
そしてイスラム法(コーランの教え)には表現の自由や信教の自由など、基本的人権の考え方は書かれていません。
たとえば2017年6月にパキスタンの対テロ裁判所が30歳のパキスタン人男性を死刑判決しました。
理由はFacebook上で預言者ムハンマドを冒涜したからです。
「えっ、そんなことで?」と思うかもしれません。
しかしイスラム法を土台するパキスタンの刑法では「預言者を冒涜したものは死刑である」と規定されているのです。
これをうけて国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは「表現の自由や信教の自由という権利をインターネット上で平和的に行使したと言うだけの理由で、人が法定で裁かれることがあってはならない」と声明を出し、パキスタン当局を批判しました。
ところがイスラム法では基本的人権など存在しません。
そのためこの批判はまったく意に介されませんでした。
このように私たちが当たり前だと思っている基本的人権は、イスラム教の思想において存在しないのです。
イスラム教からの棄教は死刑
イスラム教徒は棄教に対して厳しい見方をしています。
2008年から2012年にかけてピュー・リサーチ・センターが「棄教に対して死刑を支持するか?」という調査を行いました。
すると棄教に対して死刑を支持すると回答したのが、エジプト人86%、ヨルダン人82%、アフガニスタン人79%、パキスタン人76%でした。
またサウジアラビアやアラブ首長国連邦は、国の法律として「棄教は死刑である」と定めており、上記の調査は許可すらされませんでした。
これらの国はいずれも国民のほとんどがイスラム教徒の国です。
また国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルの発表によれば、2016年に世界で執行された死刑の数は少なくとも1032件あると言われます。
数が多い順に中国、イラン、サウジ、イラク、パキスタンとなり、中国を除くと他はほとんどイスラム教国であり、刑法にイスラム法の極刑を取り入れている国なのです。
このことからほとんどのイスラム教徒が信教の自由などないと考えていることがわかります。
つまり信仰の対象を変える(棄教する)ことなどありえないのです。
イスラム教の視点から正しいイスラム教を学ぼう
イスラム教についての解説書は世の中に数え切れないほどあります。
しかしその多くが日本人や西洋人の常識や考えを元にイスラム教を分析していたり、著者の「意見」を述べています。
それは「平和の宗教と言われながらなぜテロを起こす?」など、私たちが抱く疑問にたいしてぼやけた回答しか与えてくれません。
しかし飯山陽さんは違います。
「イスラム教徒が何を考え、何を重要視し、それゆえどういう行動とるのか」を、イスラム教徒と同じ土台に立ち、同じ視点から解説してくれます。
それゆえ曖昧な答え方はせず、私たちが受け入れられなようなことだとしても、明瞭に回答しているのです。
友人からイスラム教に関する質問をもらったときに困らないように、『イスラム教の論理』・『イスラム2.0』を通して、イスラム教の正しい姿を学んでみてください。
心よりおすすめします。
God bless you!
飯山さんの最新作はこちら。
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