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子どもが学校で学ぶ事と現代社会が求める事に乖離があると思ったことはありませんか?
現代はリモートワークやAI利用など新しいテクノロジーが発展したにも関わらず、教育業界はそのスタイルや内容はほとんど変化していません。
事実私たちもあなたが受けた20年前の教育とほぼ変わらない教育が、今の子どもたちにも施されています。
実は現代教育のルーツは1800年代帝国主義時代までさかのぼる事になります。
そんな中次世代教育を模索するため、学習指導要領を逸脱して新しい教育を提供するN高等学校やゼロ高等学院なども創設されました。
しかし公立中学校にも関わらず、次世代教育を行おうと教育改革を行う中学校がありました。
この記事では現代教育を抜本的に改革する公立学校・千代田区立麹町中学校をご紹介します。
今回は公立学校で起きている教育改革の内容についてご紹介いたします!
麹町中学校の教育改革事例その1:「話を聞くこと」を子どもに押し付けない
麹町中学校は学校の校長先生である工藤勇一さんが改革者です。
まず工藤さんの始業式のスピーチからして、話を聞くことを子どもに押し付けません。
みんな元気? 夏休みは充実していたかな? 元気な人はまあいいや。今日は、元気じゃない人だけに話をしよう」
千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一氏(57)は生徒たちの前に立ち、~演台のスクリーンには工藤氏がこの日のために作ったパワーポイント資料が映し出される。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10982
企業では当たり前のパワーポイントですが、学校教育ではいまだに使われていません。
アマゾンみたいに企画書はA41枚で!という企業もありますが、それは目的を持ってパワーポイントを使っていません。
どうして工藤校長はいわゆる「校長先生のスピーチ」にパワーポイントを用いているのでしょうか。
「中学校は社会で活躍する人材を育てるための場所です。
生徒たちが大人になり、人前で話すときに、聞いてくれない相手を叱る人はいません。
だから教員が『校長先生の話をちゃんと聞きなさい』と指導する姿なんて見せてはいけない。
話を聞いてもらえないのは校長の責任ですよ。
言葉は伝わることが大事で、分かりやすく伝えなければ意味がないと考えています。
生徒たちが『聞きたい』と思うような話をする。
ビジネスの場では当たり前のことですよね」
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10982
「話を聞いてくれない人を叱る事はない」というビジネスの場では当たり前のことを、工藤校長は自ら実践しています。
私は小学1年生から高校3年生まで12年間校長先生の話を聞いていましたが、パワーポイントを使った先生は1人もいなかったと思います。
「中学校は社会で活躍する人材を育てるための場所」であるという現実を認識し、ビジネスの場では当たり前の「聞いてもらう努力・伝える努力」をして生徒へ話をしているのが工藤校長になります。
「話を聞いてもらえないのは話し手の責任である」という、社会に出たら前提とされることをまず教師が実践しています。
工藤校長だけでなく教師の授業も同じ考えで取り組んでいます。
そもそもどうして話を聞かない生徒が責められるのでしょうか。
ビジネスの世界では、聞いてもわからない、楽しくない研修を展開し続ける講師がいたら、その講師に責任があると考えます。
聞きたいと思うようにする責任は話し手にあるという理念が、冒頭の「パワーポイントを駆使した校長のスピーチ」につながるのですね。
麹町中学校では聞く責任を生徒だけに押し付けるのではなく、社会がそうであるように、話し手である教師に聞かせる責任がある事をしっかりと理解されています。
麹町中学校の教育改革事例その2:目的を捉えて不要な宿題を廃止する
学校では当たり前の宿題麹町中学校はこの宿題を廃止しました。
その背景を工藤先生はこう語ります。
「多くの教員は勉強することの意味を履き違えてしまっていると思います。
だからむやみやたらに宿題を出す。
本来の勉強の意味とは、生徒たちが『分かる』『分からない』を自覚し、分からないことを分かるようにすることです。
一律に宿題を課せば、すでに分かる状態にある生徒に無駄な時間を強いることになります」
~
自分にはすでに分かっている範囲のことなのに、単なる作業として宿題に取り組み提出しなければならない。
優秀な成績を収め、『やりたいこと』が明確な生徒にも一律に同じ内容の宿題を課すことが、正しい教育だと言えるでしょうか?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10982
確かに出来る問題をひたすら解く事は時間の無駄です。
分かる部分とわからない部分を明確化し、わかるようにすることが宿題の目的です。
私たちもいまさら足し算引き算の練習はしません。
それはすでにわかる内容だからです。
しかし伝統的な学校教育「小学1年生で足し算引き算ができる子」には周りの子もやっているから「わかる科目もやりなさい」と一律に宿題を強いるシステムです。
面白いことに、最多連勝記録を塗り替えた中学3年生のプロ棋士藤井聡太四段は担任教諭に対して「授業をきちっと聞いているのに、なぜ宿題をやる必要があるのか」と質問したそうです。
分からない単元の宿題は有益だけれど、習得済み単元の宿題はもはや有害なのです。
また現代の教育システムでは教員1人がアナログで対応しているので、1人1人の生徒が「何をわかって何をわかっていないか」を把握できません。
本来こういう分野にITを活用すればもっと効果的な宿題の出し方ができると思います。
単元テストや日々の宿題の回答データを集めて、人1人の正答率が低い単元を分析し、個別にアレンジした宿題を出すようなシステムを開発すれば、より価値のある宿題が出せるでしょう。
工藤校長は宿題の目的や本質を考え、現在の宿題の出し方は非常に非効率で効果が低いと考えたため宿題を撤廃しました。
また他にも手段が目的化した事柄の改革に着手しています。
「作文にちゃんと取り組まない生徒はダメ、学級新聞の制作に協力しない生徒はダメだと言われます。
でも本来考えなければいけないのは、『その新聞、本当に誰かが読むの?』『何のために書くの?』ということ。
これからの時代はむしろ『こんなの必要ないじゃん』と言える子が必要なのに、教育現場では真逆のことをしているわけです」
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10982
今までの時代は「与えられたことをいかに多く、早くこなすか」が経済を発展させる人財でした。
だから周囲や上司の命令に何も考えず「はい」と言える人財でも問題なかったのです。
しかし時代は変わり、社会のニーズも変わっています。
教育現場は社会のニーズの変化を捉えられず、前時代の取り組みを伝統的に続けているのです。
麹町中学校は宿題の目的を考え、これまで通りの宿題は効果的ではないとして撤廃しました。
本当に必要なことは何なのか。まず大人が考えて教育を改革しているのです。
麹町中学校の教育改革事例その3:現実社会に活用できる力を養う授業
昨今ではテクノロジーの発展により学校教育で養う力と現代社会が必要とする力との乖離がますます大きくなっています。
しかし麹町中学校は現代社会で活用できる力を身に着けるために授業に工夫がなされています。
自らの意志を持って社会に出ていく人材を育てるため、麹町中学校では年間を通してさまざまなカリキュラムを用意している。
その1つが、現実社会と連動しながら生きる力を育む全国規模のプログラム「クエストエデュケーション」への参加だ。
クエストエデュケーションでは、2年生が1年間の企業インターンを経験する。
NTTドコモやクレディセゾンといった大手企業へ生徒たちがエントリーシートを書き、企業から出されるリアルな課題に対して自分たちでオリジナルの企画を考え、プレゼンテーションを行っている。
3年生では大手旅行代理店のJTBに対して、「自分たちの修学旅行企画」を提案する。
取材旅行としてツアー企画を立て、2年生や保護者も呼んでプレゼンを行うのだ。
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/10982
麹町中学校では実際に企業のリアルな課題を解決します。
これはN高等学校なども取り入れているプロジェクトベースドラーニングです。
生徒たちが取り組んでいることは「私たち社会人が日々会社で行っていること」であり、まさに社会で働くために必要な力を鍛える取り組みです。
麹町中学校の学生は「NTT、JTBといった日本のトップ企業の方と一緒に仕事をする」という、驚くほど実践的な授業に取り組むことで現代社会に必要な能力をいち早く気づき、磨く事ができるのです。
麹町中学校ではその他にも特別授業も行っています。
次世代教育を模索するN高等学校やゼロ高等学院も同じように「実際の社会課題を解決する中で力を育む」取り組みを行っています。
またその分野のプロフェッショナルから学ぶ授業を展開しています。
もはや多くの学校が提供できていない特定の分野の学習に関しては「なんでもできるゼネラリスト」である教員ではなく、「実際に企業で働くプロフェッショナル」である専門家に授業を依頼しています。
麹町中学校は1人1人の生徒が現代社会に通用する力を養うために、現代社会で活躍する人たちと一緒に活動する授業を取り入れています。
麹町中学校の教育は現代社会を見据えている
私は麹町中学校の事例を見て「公教育でも現代社会にマッチした教育を提供できる」という希望を感じました。
しかも1人1人の先生の能力が高いから実現できたシステムではなく、学校教育の枠組みが変わったから実現できた点は非常に興味深いです。
これはつまり他の学校も枠組みをまねる事で、麹町中学校と同じような教育を実現できるという事です。
このような教育改革はまだまだ広まっておらず、多くの生徒は現代社会からまとを外した従来型の教育を受けています。
もっと多くの公立学校が「自分たちの生徒を社会で通用する人財に教育する」という目標を見据えて、枠組みを変えていってほしいと感じました。
あなたはどう感じたでしょうか。
麹町中学校のような教育改革を行った学校に自分の子どもを入学させたいですか?
それとも普通の中学校でしょうか。
それともホームスクールでしょうか!笑
1人1人の子どもに合わせて、子どもを最もよく知る親が悩み子どもと相談し家族で選んでいきたいですね。
God bless you!
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そもそも日本は教育後進国であるとすら言われます。
現代教育システムが問題を抱えているのは、教育システムのルーツにあることがわかりました。
アメリカでも教育改革が行われています。
時代の変化に伴う教育の変化を目指し、プロジェクトベースドラーニングを取り入れた高校の事例です。